人生を組み替える|婚活編 第6話
マッチングアプリを始めて、40〜50代の男性のプロフィールを見るようになって、少し気になったことがある。
それは、
「今すぐにでも結婚したい」
と書いている男性が、思っていた以上に多いことだった。
もちろん、すべての人がそうというわけではない。
「良い人がいれば結婚したい」
「お相手と相談して決めたい」
という人もいる。
ただ、私が実際に見ている範囲では、40〜50代の男性、
とくに離婚経験のある男性の中には、
かなりはっきりと「再婚したい」という意思を示している人がいる。
最初は、
「なぜ、そんなに急ぐんだろう?」
と思った。
もちろんそれぞれに事情はあるのだろう。
離婚を経験して、もう一度家庭を持ちたいと思う人もいる。
一人暮らしの寂しさを感じている人もいる。
子どもが独立したことで、これからの人生を一緒に過ごす相手が欲しくなる人もいる。
それ自体は、決しておかしなことではない。
ただ、プロフィールを眺めていると、私はときどきこんなことを考える。
でも、その「今すぐ」の中に、自分が選ばれるための時間や努力まで含まれているのだろうか。
さらに、もう少し調べてみると、そこには個人の性格だけでは説明できない背景もありそうだった。
日本でも、男性のほうが再婚しやすい
まず確認しておきたいのは、
「離婚後、男性のほうが再婚しやすい」
という傾向は、日本でも確認されているということだ。
日本の公的統計や家族社会学の研究では、離婚後の再婚率は男性のほうが女性より高い傾向が示されている。
つまり、
「離婚した男性が再婚を希望することが多い」
という私の印象は、少なくとも完全な思い込みというわけではない。
もちろん、これは「離婚男性はみんな再婚したがっている」という話ではない。
あくまで集団として見たときの傾向だ。
では、なぜ男性のほうが再婚しやすいのだろう。
一度「家族がいる生活」を経験している
離婚経験者の中には、何年も結婚生活を送ってきた人がいる。
家に帰れば妻がいる。
子どもがいる。
休日には家族の予定がある。
誕生日やクリスマスがある。
そんな生活が、離婚によって突然変わる。
もちろん、離婚したことで自由になり、むしろ一人の生活を楽しんでいる人もいるだろう。
でも、結婚生活が長かった人にとっては、
「一人で暮らすこと」より、「以前あったものがなくなったこと」
のほうが大きいのかもしれない。
家族がいた場所に、自分一人だけが残る。
その変化は、思っている以上に大きいのではないだろうか。
「一人暮らし」と「家族を失うこと」は違う
もともと独身だった人なら、
「一人で暮らす」
という状態が自分にとって普通だったかもしれない。
でも、一度家族と暮らした人は違う。
家に誰かがいる。
何気ない会話がある。
食事を一緒にする。
休日の予定を共有する。
そういう生活を経験したあとに、一人になる。
すると、
「一人暮らし」ではなく「孤独」
を強く感じることがあるのかもしれない。
日本の研究でも、離婚した男性について、再婚と心理的な負担の軽減との関連が報告されている。
つまり、再婚は単に「恋愛相手を見つける」というだけではなく、心理的な支えや生活上のつながりを取り戻す意味を持つ場合もある。
「一人で死ぬのが寂しい」という言葉
今回、私が実際に会った男性から、
「一人で死ぬのは寂しい」
という趣旨の話をされた。
この言葉は、かなり印象に残った。
40代、50代になると、若い頃とは少し違う。
親の老いを見る。
友人の生活も変わっていく。
自分自身も年齢を重ねる。
そして、
「このまま一人だったら、10年後、20年後はどうなっているんだろう」
と考える。
若い頃なら、
「そのうち誰かと出会うだろう」
と思える。
でも40代、50代になると、
「このまま一人で老いていく可能性」
が、急に現実味を帯びてくる。
その不安が、再婚への意欲を強くすることは考えられる。
海外でも、離婚した男性と孤独の関係が研究されている
この傾向は日本だけのものなのだろうか。
アメリカでは、50歳以上の離婚を「gray divorce」と呼び、この世代の離婚や再パートナー化について研究が行われている。
研究では、離婚後に男性が女性より再パートナー化しやすい傾向や、離婚した男性の孤独感と再パートナー化との関連が報告されている。
ただし、ここは慎重に考えたい。
アメリカの研究結果を、そのまま日本人男性に当てはめることはできない。
家族観も、男女の役割も、離婚後の親子関係も違うからだ。
でも、
「離婚後の男性にとって、パートナーの存在が心理的・社会的な支えになることがある」
という仮説を考える材料にはなる。
そして日本にも、男性の再婚率が女性より高いというデータがある。
そう考えると、私がアプリで感じた違和感も、少し違って見えてくる。
「結婚したい」と「この人と結婚したい」は違う
ここが、私が今回一番気になったところだ。
「今すぐにでも結婚したい」
という言葉を見たとき、
「この人は、どんな人と結婚したいのだろう?」
と思った。
もちろん、結婚願望が強いこと自体は悪くない。
むしろ、結婚する意思がはっきりしていることは、婚活では分かりやすい。
ただ、
「結婚したい」
と、
「この人と結婚したい」
は、少し違う。
前者は、自分の人生についての願望。
後者は、目の前にいる相手についての感情だ。
この二つが同じならいい。
でも、もし「結婚したい」という気持ちが先に強くなりすぎると、
「この人と結婚したい」
ではなく、
「結婚できる相手を探す」
という状態になってしまう可能性もある。
「相手」を見ているのか、「空席」を埋めたいのか
再婚を考えるとき、
「この人といると楽しい」
「この人の考え方が好き」
「もっとこの人を知りたい」
という気持ちから始まるのか。
それとも、
「一人でいたくない」
「老後が不安」
「家庭が欲しい」
という気持ちから始まるのか。
外から見ただけでは分からない。
本人にも区別できていないことがあるだろう。
でも、
「この人と生きたい」
と、
「一人でいたくない」
は、やはり別の感情だと思う。
前者は目の前の相手を見ている。
後者は、自分の人生に空いている場所を見ている。
再婚を急ぐこと自体が悪いわけではない
ここは誤解したくない。
再婚を急ぐことそのものが悪いわけではない。
離婚を経験したからこそ、
「次は穏やかな家庭を作りたい」
と思う人もいるだろう。
「もう一度誰かを愛したい」
と思う人もいる。
「人生の後半を一緒に過ごせる人がほしい」
という願いも自然だ。
問題は、
その焦りが、目の前にいる相手を見ることまで急がせてしまわないか
ということなのだと思う。
早く決めることと、良い相手を見つけることは同じではない。
むしろ、急いでいると、
「この人でいい」
と、
「この人がいい」
を取り違えてしまうこともある。
さらに、「再婚したい」という欲求が強くなると、
相手に何を求めるかばかりが大きくなり、
「自分は相手に何を返せるのか」
「自分も選ばれる側だ」
という視点が薄くなることがある。
婚活では、相手を選ぶ。
でも同時に、自分も選ばれる。
これは、どちらか一方ではない。
「自分はこういう女性と結婚したい」と条件を並べることと、
「その女性は、自分と結婚したいと思うだろうか」と考えることは、まったく別の話なのだ。
「孤独を埋めるための再婚」と「この人と生きるための再婚」
40代、50代になると、人生の残り時間を意識する。
老後のことも考える。
病気になったときのことも考える。
一人で老いていくことへの不安もある。
だからこそ、
「できるだけ早くパートナーを見つけたい」
という気持ちは理解できる。
でも、
「一人でいたくない」
から始まった関係が、
「この人と一緒に生きたい」
に変わるには、やはり時間が必要なのだと思う。
その人がどんな人なのか。
何を大切にしているのか。
こちらの境界線をどう扱うのか。
一緒にいて安心できるのか。
そういうことを知る時間だ。
婚活を始めて、気になった「再婚のスピード」
離婚によって家族を失った。
一人の生活になった。
子どもが独立した。
老後が現実的になってきた。
孤独を感じるようになった。
そして、
「もう一度、誰かと暮らしたい」
と思う。
そう考えれば、再婚を急ぐ気持ちにも、それぞれの人生の背景がある。
もちろん、実際の理由は一人ひとり違う。
だから私は、
「離婚した男性は孤独だから再婚を急ぐ」
と決めつけたいわけではない。
ただ、
「なぜこの人は、こんなに早く結婚したいのだろう?」
と疑問を持ったとき、その背景にある人生まで想像してみると、少し違った景色が見えてくる。
そして同時に、
「結婚したい」と「この人と結婚したい」は別なのだ
ということも、覚えておきたい。
婚活で探しているのは、単に「結婚相手」ではない。
これからの人生を一緒に過ごしたいと思える、
「この人と生きたい」と思える相手
なのだから。
メッセージでは好印象。でも、会った瞬間に「違う」と思った。
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仕事、暮らし、学び方――40代、これからの人生を自分で選び直していく。
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