街にあふれていた「生きるために稼ぐ力」
インドネシアを旅していて、不思議な感覚になった。
街を歩くと、誰もが何かを売ろうとしている。
タクシー。
マッサージ。
ツアー。
お土産。
もちろん全員ではない。
それでも、日本にいる時よりずっと「生きるために稼ぐ」というエネルギーを強く感じた。
正直に言えば、少し圧倒された。
帰国してから考えた。
なぜ私はそう感じたのだろう。
日本のサービスはなぜ世界で評価されるのか
インドネシアは人口約2.8億人を抱える東南アジア最大の経済大国だ。
国全体のGDPは大きい。
しかし実際に街を歩くと、インフラの未整備や所得格差も見えてくる。
一方、日本は世界有数の先進国だ。
街は清潔で、治安も良い。
電車は時間通りに来る。
コンビニの店員は丁寧だ。
レストランでは水が無料で出てくる。
ホテルでは細かな気配りが当たり前のように行われる。
ところが、日本人の給与はそれほど高くない。
世界から見ると、この状況は少し不思議に映る。
「なぜこんなに質の高いサービスを提供しているのに、給料はそこまで高くないのか」
そう思う外国人は少なくない。
給料以上に働く国、日本
日本には長く、
「相手に迷惑をかけない」
という文化があった。
仕事でも同じだ。
給料以上に責任感で動く人が多い。
丁寧な対応や気配りは、単なるサービスではなく、人として当然の振る舞いと考えられてきた。
これは日本社会の大きな強みだと思う。
ただ、その強みは必ずしも賃金には反映されてこなかった。
品質を維持しながら値上げを避け続けた30年
さらに日本は30年以上にわたって、値上げを避け続けてきた。
品質は維持する。
サービスも維持する。
しかし価格は上げない。
その結果、「高品質・低価格」が当たり前になった。
消費者としてはありがたい。
しかし、その裏では企業も労働者も十分な利益を得にくくなっていた。
インドネシアで見た上昇志向、日本で感じる責任感
インドネシアで感じたエネルギーと、日本で感じる空気の違いは、豊かさの差だけではないのかもしれない。
インドネシアでは、
「もっと稼ぎたい」
という上昇のエネルギーを感じた。
日本では、
「ちゃんとやろう」
という責任感のエネルギーを感じる。
どちらが正しいという話ではない。
社会が長い時間をかけて選んできた価値観の違いなのだと思う。
外から見た日本と、中で暮らす日本
世界から見ると、日本は今でも驚くほど快適な国だ。
そして円安の影響もあり、「安くて質が高い国」として旅行者を引きつけている。
しかし、日本で暮らす私たちは別の現実も知っている。
物価の上昇。
伸びにくい給与。
将来への不安。
外から見る日本と、中で暮らす日本。
その両方を知ることで、ようやく今の日本の姿が見えてくる気がしている。
▶Culture OS Notes全話一覧はこちら
コメント