退職後の初めての海外旅行|バリ島・ングラライ空港での到着と混乱の記録―人生の再選択②

Culture OS Notes

Episode 2:ングラ・ライ空港編

2026年、人生の再選択 ― 世界を歩きながら考えたこと
仕事を離れたあと、私はインドネシアへ向かった。
このシリーズは、旅の記録であると同時に、これからの生き方を探していく過程の記録でもある。
世界を歩きながら見た風景、人との出会い、そして心の変化を書き残していきたい。

退職後、最初の旅先に選んだのはインドネシアのバリ島だった。


ここ数ヶ月、人生が大きく動いた。

環境も、人間関係も、自分自身の考え方も変わった気がする。

だから今回の旅では、何かを成し遂げたいわけでもなく、ただ穏やかに過ごしたかった。

そして実際にバリへ来てみて思った。

「ああ、ここを選んで良かったな」と。


夕日が消えていく空港の時間

ングラ・ライ空港(デンパサール国際空港)に到着し、ターミナルへ向かうバスに乗り込んだとき、窓の外にはまだ夕日が残っていた。

オレンジ色の光が空港の建物や滑走路の端をゆっくりと染めていて、「ああ、バリに着いたんだ」と実感した瞬間だった。

しかしその一方で、成田空港で慌ててe-VOA(電子到着ビザ)や検疫用のHealth Pass、電子税関申告を済ませていたことを思い出していた。

e-VOAはインドネシア到着前にオンラインで申請し、事前決済を済ませておく必要がある。費用は1人5,000円ほどだった。

その必要性を知ったのは、成田空港でガルーダ・インドネシア航空のチェックインをしている時だった。

航空券をJAL経由で購入していたためターミナルを勘違いし、一つ手前の駅で降りてしまうという小さなトラブルまで重なっていた。

てっきり到着後に手続きすればいいと思っていたので、その場で少し焦った。

成田空港で早めに着いていたにもかかわらず、ゆっくり過ごす余裕はなく、スマートフォンで申請手続きを進め、QRコード(検疫用も)を保存するのに追われていた。

機内に乗り込んだ後も、離陸直前までスマートフォンを操作していた気がする。

無事に申請できたとはいえ、出発前からすでに慌ただしい時間だった。


入国の一瞬

入国審査場では、有人カウンターの前にかなり長い列ができていた。

一方で、e-VOAとICパスポートを持つ旅行者はオートゲートを利用できる。

私はその列を横目にオートゲートへ進み、入国手続きは30秒ほどで終わった。

成田空港での慌ただしさが、一気に報われたように感じた。

荷物と空港の時間

しかし、空港の外へ出るまではまだかなり時間がかかった。

荷物がなかなか出てこない。

ターンテーブルの前で、ただ時間だけが過ぎていく。

オランダ系インドネシア人に見える大柄な男性が大きな声で何度もスタッフに催促をしていた。

その声のあと、ようやく荷物が流れ始めた。

その頃には、空港の外はすでに夜の気配に包まれていた。

長時間のフライトの後は、いつも少し頭がぼんやりする。

特に今回のように移動時間が長いと、思っている以上に判断力が落ちているのを感じる。

何かを決めるのも、確認するのも、普段より少し遅くなる。

この状態のまま空港の動線や検疫の列に並び手続きをこなすだけでも、思った以上にエネルギーを使っていた。

だからこそ、小さな混乱も少し大きく感じられたのかもしれない。


ドライバーとの合流

空港の外でドライバーを探す。

ターミナルに入ったときには、オレンジ色の光がゆっくりと街に落ちていくのを見ていたはずなのに、ドライバーと合流する頃には、空はもう完全に夜に変わっていた。

配車アプリの接続がうまくいかず、フリーWi-Fiを探してようやく連絡が取れた。

少し離れた場所で待っていたドライバーと合流するまでに、さらに時間がかかった。

歩くだけでじわじわと汗が噴き出る。夜の湿気と生暖かい空気にまとわりつかれる感じ。
少し今朝の日本の空気が恋しくなった。

彼は予定よりもかなり前から待機していたらしく、思いがけず長時間待たせてしまっていたことになる。

申し訳なさと安堵が同時に押し寄せた。


渋滞とホテルへ

空港を出ると、道路はすでに渋滞していた。

ホテルまでは1時間以上かかった。

車の窓の外には、たくさんのバイクの中に車が入り混じる、独特の交通の流れが続いていた。

ふと大学時代に訪れたバンコクの夜景を思い出した。暗い街の中で、明るく光る店やセブンイレブンの光が妙に印象に残っている。


ようやくホテルに到着したとき、身体の緊張が一気にほどけたような気がした。

しかしそれも束の間だった。

インドネシア訛りの「R」の音が強い、巻き舌気味で少し聞き取りづらい英語に、内心少し戸惑いながらチェックインを終えた。


部屋の外につながるドアは観音開きなのだが、中央の合わせ目がきちんと閉まり切らず、隙間ができていた。

南米でもよくあったなと思い出す。
機械ではなく人が作っているからか、どこか甘くて、ちゃんと閉まらない。
その隙間から虫が入ってくる。


バリの夜へ

窓の外には、すでにバリの夜が広がっていた。

到着したばかりなのに、もう一日分の旅を終えたような感覚だった。

ただ移動しただけのはずなのに、頭も身体もずいぶん遠くまで来た気がする。

そしてまだ、この旅の“最初の夜”にすぎないことを、どこかぼんやりと理解していた。

この旅は、まだ始まったばかりだ。


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この時はまだ、自分がこれからどんな時間を過ごすのか分からなかった。

そしてバリ島へ到着して迎えた最初の朝。

アナツバメの群れ、海風、親切な旅人との出会い、そして思いがけない穏やかさが待っていた。

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