母との旅で感じた、小さな葛藤
今回の旅は、母と2人での旅行だった。
慣れない海外、時に母の言動にイライラし、つい八つ当たりしてしまう自分に自己嫌悪を抱くこともあった。
そんな凸凹な私たちの姿は、現地のドライバーやスタッフたちの目に、一体どのように映っていたのだろうか。
月収5万円の彼らから見れば、私たちは「別世界の人」
彼らの目から見れば、私たちは間違いなく「天の上の世界からやってきた、圧倒的な富裕層」だ。
彼らが何ヶ月も汗水垂らして稼ぐ額を、航空券やホテル、数万円のプライベートツアーにあっさりと支払う姿は、まばゆい富の象徴そのものだったのかもしれない。
嫉妬ではなく敬意──インドネシアに根付く親孝行の文化
しかし、彼らの視線にあるのは、嫉妬や恨みではない。
そこには、この国特有の「家族観」を通じた、深いリスペクトと感謝があった。
インドネシア社会において、親を大切にすること(親孝行)は、人生で最も徳が高い行為とされる。
彼ら自身、本当は自分の親をバリ島や聖地巡礼に連れて行ってあげたいが、月収5万円の生活では叶わない。
だからこそ、大人の娘が年老いた母親を連れて、遠い異国を2人で旅している姿は、彼らにとって「最高に尊い親孝行の姿」に映るのだ。
数千円の移動費が、彼らの日常を支えている
私たちが払うGrabの運賃やチップは、彼らの生活を支える大切な収入になる。
だから彼らは、バックミラー越しに、心からの感謝を込めてハニカミながら笑顔を向けてくる。
豊かさとは何か──旅の途中で残ったバックミラー越しの笑顔
「お金はあるけれど、どこかせかせかと忙しそうな外国人」と、「経済的な余裕はなくても、神を信じ、仲間と笑いながら今を生きる労働者」。
格差があるからこそ、旅の途中で交わした彼らの優しい笑顔の重みが、今も胸に残っている。
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