資産形成で不安が消えない理由|いくらあれば安心できるのか考えた|移住④

移住の選択と思考

移住の選択と思考シリーズ 第4回(スピンオフ)
貯めれば自由になれると思っていた私の話


言われたから始めた貯金

20代のころ、私は「貯金しなさい」と先輩に言われて、お金を貯めていた。
正直に言えば、自分の意思というよりは、そういうものだと思っていただけだ。

気づけば、口座の中の数字は少しずつ増えていった。
でも、そのお金をどうしたいのかは、ずっと曖昧なままだった。


お金の使い道を決められなかった

あるときから、「このお金、何かに変えた方がいいんじゃないか」と思い始める。
車を買おうか、家を買おうか。
物件を見て回ったりもしたけれど、決めきれなかった。

そんな中で出会ったのが、保険だった。

貯金しておくよりは、多少なりとも増える。
そう説明されて、「それなら」と思った。

ちょうどその頃、健康面で将来を意識せざるを得ない出来事もあり、
私はそのまま保険に入った。

いま思えば、合理的な判断のようでいて、
どこかで「自分で決めること」から目を逸らしていた気もする。


うっすらと気づいていた違和感

その頃から、うっすらとした違和感があった。

このままだと私は、
不満や違和感を抱えながらも、ずっと働き続けることになるんじゃないか。

はっきりと言葉にできたわけじゃない。
でも、「終わりの見えない働き方」に対する不安は、確かにあった。


資産形成という選択

そこから、少しずつ考え方が変わっていった。

ただ貯めるのではなく、
生活防衛資金を確保して、残りは資産運用に回す。
将来の自由のために、お金に働いてもらう。

いわゆる「資産形成」にシフトした。

ただ、一つだけ決めていたことがある。

旅行は削らない。

仕事を続けるために、私にとって旅行はガソリンのようなものだった。
ここを削ったら、たぶん私はどこかで折れる。
だから、お金を増やすことと同じくらい、「使う場所」も意識していた。


増えていくのに、安心できない

それでも、不思議なことが起きる。

資産が増えていくほどに、安心するどころか、
「まだ足りないんじゃないか」と思うようになった。

いつの間にか、私の中にひとつの基準ができていた。

「これくらいあれば、運用益だけでも生活に余裕が持てるだろう」
そう思える水準。

旅行にも困らず、ある程度自由に暮らせるライン。

だから、そこに届くまでは、仕事を辞めてはいけない。
そんなふうに、どこかで思い込んでいた。


数字では埋まらない不安

でも、今振り返るとわかる。

その基準は、計算としてはそれなりに合理的でも、
感情としての不安を解消するものではなかった。

むしろ逆だった。

基準を決めたことで、
「そこに届いていない自分」をずっと見続けることになる。

増えているはずなのに、足りない。
前に進んでいるのに、まだ足りない。

そんな感覚に、少しずつ引っ張られていった。


決定打は、お金ではなかった

最終的に、私が出した結論はシンプルだった。

問題は、お金じゃなかった。

どれだけ努力しても、その評価が正当に積み上がっていくとは限らない。
環境によっては、納得感のない形で扱われることもある。

その現実の中で、私は気づいた。

この環境で働き続けること自体が、
自分の心と精神を削っている。


退職という選択

そう気づいたとき、
「いくらあれば辞められるか」ではなく、
「このまま続けていいのか」を基準に考えるようになった。

そして、退職を決めた。

もちろん、不安がなかったわけじゃない。

でも、ひとつだけ言えることがある。

資産がある程度まで増えていたことは、
その決断を後押ししてくれた。

自由を与えてくれたわけではない。
ただ、「選んでもいい」と思える余白をくれた。


お金の先にあったもの

あのとき思い描いていたような、
「貯めれば安心できる未来」は、たぶん来ない。

でも、だからといって無意味だったわけでもない。

私はようやく、
お金のために生きるのではなく、
どう生きたいかを基準に選ぶところまで来たのだと思う。


移住を決めてから、
ある一つのテーマから目を逸らせなくなった。

長く続いた関係と、
その中で自分が選んできたこと。

あの時間は何だったのか。
そして、自分は本当は何を望んでいたのか。

それを整理することが、
今回の移住にとって必要な気がしている。

次回に続きます


移住の選択と思考シリーズ|全話はこちら
環境を変えたいのか、それとも人生を変えたいのか。


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