※この記事は
第一部|組織と依存の構造
「感受性の高い人の仕事の見え方」シリーズの第8回です。
どこから読んでも大丈夫ですが、最初から読むと流れがわかります。
▶ 第4回|記憶力がいい人ほど、職場で消耗していく理由―「説明係」になってしまう構造―
▶ 第5回|危険を読む人ほど、前に出られなくなる
▶ 第6回|同じ職場なのに、なぜこんなにしんどいのか
▶ 第7回|なぜ組織は「見ないふり」をするのか

この「感受性の高い人の仕事の見え方」シリーズでは、
職場の中で、人の感情や空気の変化に気づきやすく、
気づかないうちに多くを引き受けてしまう人の体験を扱っています。
一般的には HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれることもありますが、
本シリーズでは、性質を分類することよりも、
「なぜ、優しい人ほど職場で静かに消耗していくのか」
という構造そのものを見つめていきます。
第一部では、組織の力学や役割が生まれる仕組みを。
第二部では、自分を守りながら働き直していくプロセスを描きます。
読み進める中で、
「我慢するしかなかった自分」から、
「選び直せる自分」へ。
その変化の道筋を、静かに辿っていくための記録です。
感情で職場を支配する人という存在
これまでの職場で、
こんなタイプの人に出会ったことはありませんか。
・怒りや不安をそのままぶつける
・うまくいかないと誰かのせいにする
・「正しさ」や規則を盾に人を縛る
・自分では決められないのに、周囲をコントロールしたがる
本人は無自覚でも、
周囲は静かに、確実に消耗していきます。

私自身が経験した「違和感」
私も、過去にこんな職場を経験しました。
ある人は、
自分にとって負担が大きくなりそうな変化や、
正確さや責任が求められる場面になると、
いつも「もっともらしい正論」を使って、
話の流れを自分に都合のいい方向へ戻していく人でした。
表向きは冷静で、理屈も通っているように聞こえる。
だからこそ、周囲も止めにくい。
また、仕事の進め方に少し違いが出ただけで、
必要以上に反応し、
「私は困っている側です」
「被害を受けています」
という形で、
直接、上の立場の人に話を持っていくこともありました。
その過程で、
状況は少しずつ歪められていきます。
私はいつの間にか、
「説明が足りない人」
「問題を起こしている側」
のように扱われるようになっていました。
でも本人は、あくまで
「正しく行動している人」のままです。
だからこそ、
違和感を感じているのは私だけのようで、
誰にも相談できませんでした。
「私が神経質なだけかな」
「気にしすぎなのかな」
そうやって、何度も自分を疑いました。

なぜ、こういう人は誠実な人を嫌うのか
不思議に思ったことがあります。
なぜか、このタイプの人は、
丁寧で誠実な人を遠ざけたり、攻撃したりします。
理由はシンプルです。
誠実な人の存在は、
「できていない自分」を突きつけてしまうから。
向き合う勇気がないとき、人はこう言います。
「そんなの理想論だよ」
「現実が見えてない」
でもそれは、本音ではありません。
「自分にはできない」と認めたくないだけなのです。

感受性の高い人が標的になりやすい理由
感受性が高く、感情コントロールができる人は、
・空気を読む
・全体を見る
・感情に流されにくい
・仕事が丁寧
という特徴があります。
つまり、
「比較されると困る存在」になりやすい。
だから無意識に、
・下げる
・萎縮させる
・支配しようとする
方向に向かう人もいます。
これは弱さからくる防衛反応です。

「発達傾向」だけでは説明できない現実
ここで大切なことがあります。
特性や傾向があっても、
・人を尊重する人はする
・学ぼうとする人は学ぶ
という事実です。
問題は「傾向」ではなく、
- 振り返らないこと
- 改善しないこと
- 他人を尊重しないこと
ここにあります。
私が一番つらかったのは、
話し合おうとしても、
最初から「聞く気がない」態度でした。

消耗しないために、知っておいてほしいこと
感受性の高い人ほど、
「私が悪いのかな」
「我慢すれば丸く収まる」
と考えがちです。
でも、多くの場合そうではありません。
構造の問題です。
あなたが弱いのではなく、
相手が向き合えないだけ。
最後に:あなたは、もう十分がんばっています
もし今、
・誰かの感情に振り回されている
・理不尽さに疲れている
・自分を責めてしまう
そんな状態なら、思い出してください。
あなたは「誠実すぎる側」にいます。
誠実で、考えて、悩める人です。

問いかけ
もしあなたがこれまで、
「なぜ私だけ、こんなに気をつかってしまうんだろう」
「なぜ私ばかり、疲れるんだろう」
と感じてきたなら、
それはとても当たり前の感覚です。
これまで、
「本当はおかしいと思っていたのに」
「でも、言えなかったこと」
はありませんでしたか?
その違和感は、
当たり前の感性の証です。
よかったら、
あなたが飲み込んできた気持ちを、
少しだけ振り返ってみてください。
あなたには、
誰かの不安の後始末をするためではなく、
自分の人生を生きる力とその価値が確実にあります。
次回は、優しい人ほど巻き込まれやすい理由と、消耗の構造を明らかにします。
「会議で主導権を握りたがる人、その心理の正体とは?」

▶【「感受性の高い人の仕事の見え方」シリーズ全話一覧はこちら】
▶ 次に読む
「優しすぎて、もう疲れてしまった人へ」
→ 優しすぎる人は、なぜこんなに生きづらいのか
→ごまかして生きられないことはなぜこんなに苦しいのか
▶ この苦しさの“正体”を知る
「それはあなたの問題ではないかもしれません」
→ なぜ組織は“見ないふり”をするのか
→組織が変わらないのには理由がある
▶ もう限界かもしれない人へ
「無理に頑張り続けなくてもいいという話」
→ 静かに降りるという選択
→変わらなかった世界と、変わった私
誰にも理解されなかった感覚が、
ここで少しでも言葉になっていたなら嬉しいです。
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