移住の選択と思考シリーズ 第5回です。
移住を前に、避けて通れなかったこと
移住の準備を進める中で、
どうしても向き合うことになったテーマがある。
それは、これまでの人間関係と、
その中で自分がどんな選択をしてきたかということだった。
環境を変えるというのは、
過去を切り離すことではなく、
むしろ整理することに近いのかもしれない。
長く続いた関係の終わり
長く続いた関係が終わった。
特別に劇的な出来事があったわけではない。
ただ、続いていたものが、静かに終わった。
振り返ると、最初から少しずつ違和感はあったと思う。
言葉と行動の間に小さなズレがあったり、
優先順位に迷いが見える瞬間があったり。
ただその都度、
「今はそういうタイミングなのだろう」と受け取っていた。
関係を続けるというのは、
そうやって現実を少しずつ調整することでもあるのだと思う。
選択と時間の重さ
今回、強く感じたのは「時間」の重さだった。
もし別の選択をしていたら、という考えはどうしても浮かぶ。
特に、子どもを持つという可能性については、避けられなかった。
ただ、その時はその時で、
見えている情報の中で選んでいた。
未来が分かっていたわけではない。
それでも、
後から振り返ったときにしか見えないものがあるのも事実だった。
家族の記憶と、受け取ってきたもの
母は、私が生まれたときのことをよく話してくれた。
本当に嬉しかったということ。
そして、遠方から駆けつけてくれた家族の話も、
何度も聞いてきた。
そういう記憶があるからこそ、
「人が生まれることの喜び」は、
どこか自分の中で特別な意味を持っている。
だからこそ、
今回の選択と時間の問題は、
単なる現実以上の重さを持っていた。
関係の中で起きていたこと
その関係には、最初からいくつかの前提条件があった。
今振り返ると、
あの関係の中では、自分の選択が後回しになっていた部分もあったと思う。
相手の状況やタイミングを優先しながら、
「もう少し先に進めば変わるかもしれない」と考えていた。
その判断自体は、
当時の自分にとっては自然なものだった。
ただ結果として、
自分の時間をどこに使うかという視点は、
後回しになっていたのだと思う。
私はきっと、
「この人と一緒にいられるなら」という前提で、
自分の中のいくつかの希望に蓋をしていたのだと思う。
その中には、
子どもを持つという選択も含まれていた。
それでも当時は、
それでいいと思っていた。
ただ、関係の歪みを見過ごせなくなって、
それを正そうとした結果、
結局はどちらも手元に残らなかった。
あのとき、
もう少し早く自分の気持ちを優先できていたら。
そう思う気持ちが、
今の悔しさとして残っている。
惹かれた理由と、届かなかった誠実さ
彼には、ある種の誠実さがあったのだと思う。
人や関係を簡単に手放さないこと。
一度抱えたものを、最後まで背負おうとすること。
その姿は、ときに理解しづらくもありながら、
同時に強さのようにも見えた。
そして私は、その誠実さに惹かれていた。
いつか、その向き先が自分にも向くのではないかと。
時間が経てば、状況が変われば、
いずれ自分にも同じように向けられるのではないかと。
そう思って、関係の中に居続けていた。
ただ実際には、
その誠実さの向き先が変わることはなかった。
それは誰かが間違っていたというより、
最初からそういう構造だったのだと思う。
そして私は、
その外側にいたというだけだった。
それでも残っているもの
失ったものは確かにある。
ただ同時に、残っているものもある。
誰かを大切に思う力や、
どんな関係を望んでいたのかという感覚。
それはこれからの選択に、
きっと影響していく。
新しい場所と、新しい生活
今回の移住で、新しい住まいも決まった。
安心できる空気のある場所で、
これからの生活を始めることになる。
何かを取り戻すというより、
少しずつ整えていくような感覚に近い。
これから選び直すということ
移住は、場所の変化であると同時に、
選び方を変えるタイミングでもある。
これからは、
自分の意思を基準に選んでいきたいと思う。
大きな決意ではないけれど、
静かな方針として。
おわりに
すべてが整理できたわけではない。
それでも、
立ち止まって考えたことには意味があると思う。
そしてこの先に、
もう一つ、自分の原点に近い記憶がある。
それについては、次で書いてみようと思う。
「移住前の人生整理|祖母との記憶から考える帰る場所とは|移住⑥」
🌿あわせて読みたい
話し合う人と距離を取る人、それぞれの思考の特徴を紐解きながら、
そのすれ違いが関係にどんな影響を与えるのかを考えます。
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生まれた土地の空気と、穏やかな記憶が重なるとき、
人は直接影響を受けている自覚がなくても、
どこかで静かに変わっていくことがある。
私は、ひとつの選択をしました。それが正解かどうかは、まだ分かりません。
ただ、あのとき確かに、もう同じ場所には戻れないと感じていました。
その選択に至るまでの、とても個人的で静かな過程を描いていきます。
移住の選択と思考シリーズ|全話はこちら
環境を変えたいのか、それとも人生を変えたいのか。
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