【第二部|感受性|再生編・最終回】 変わらなかった世界と、変わった私

仕事と心―感受性が高い人の仕事の見え方シリーズ

この「感受性の高い人の仕事の見え方」シリーズでは、
職場の中で、人の感情や空気の変化に気づきやすく、
気づかないうちに多くを引き受けてしまう人の体験を扱っています。

一般的には HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれることもありますが、
本シリーズでは、性質を分類することよりも、
「なぜ、優しい人ほど職場で静かに消耗していくのか」
という構造そのものを見つめていきます。

第一部では、組織の力学や役割が生まれる仕組みを。
第二部では、自分を守りながら働き直していくプロセスを描きます。

読み進める中で、
「我慢するしかなかった自分」から、
「選び直せる自分」へ。

その変化の道筋を、静かに辿っていくための記録です。




気がつけば、ここまで来ていました。

何かが解決したわけではないのに、
以前とは少し違う場所に立っている気がします。

世界は、あの日から大きくは変わっていません。

ただ、私の見え方だけが戻らなくなりました。

それに気づいたあと、世界は少し静かになります。

何かが解決したわけではないのに、

前とは同じ場所に立っていないと分かるからです。


私はずっと、世界を理解しようとして書いてきました。

けれど最後に残ったのは、答えではなく、ひとつの静かな感覚でした。


もしかすると、

ここまで読んできたあなたも、

もう以前と同じようには世界を見られなくなっているのかもしれません。

過去の自分へ

あの頃の私は、
何かを正せば世界は変わると思っていました。

振り返れば、

私はずっと

「正しく理解すれば変わる」

と信じていました。


違和感には理由があり、

言葉にすれば届き、

誠実に向き合えば状況は動く

——そう思っていたのです。


けれど、
長い時間を通して分かったのは、

世界には理解しても
なお
動かないものがあるということでした。

そしてそれを知ったとき、
初めて、
自分の力の限界ではなく、

世界の輪郭が見えた気がしました。


「世界は変わらない」という静かな真実

私は長い間、
世界を理解しようとしていました。

けれど本当は、
理解したかったのは世界ではなく、

その中で感じ続けていた自分の違和感だったのかもしれません。

世界は、思っていたほど単純ではなく、
正しさだけで動く場所でもありませんでした。

誰かが悪いから止まっているわけでもなく、
誰かが努力すれば変わるものでもなかった。

ただ、それぞれが守っている立場や恐れや都合の中で、
動かないまま保たれているものがある。

そして私は、ようやく気づきました。

世界を変えられなかったことよりも、
変えられないものを背負い続けていたことの方が、
ずっと自分を疲れさせていたのだと。

多くのものは、個人の誠実さでは動かないのだと。

敗北ではなく自由へ向かう

もしかすると、

あなたはこれまで、

手放すことを

どこかで「負け」のように感じていたかもしれません。


けれど本当は、

手放すとは
諦めることではなく、

自分が背負える範囲を取り戻すこと

だったのだと思います。


長い間、あなたは自分を責め、

世界を変えようと必死でした。




でも振り返ってみると、

あなたが戦ったのは「間違い」ではなく、

むしろ「正しさを信じて行動したこと」そのものでした。


変えられなかった世界があったとしても

その努力のひとつひとつが、

静かにあなたの心を鍛え、

次に進む自由の準備になっていたのです。


だから

世界を変えようとしていた時間も、

理解されなくても向き合い続けた日々も、

すべては間違いではありませんでした。


ただ、それは一人で持ち続けるには重すぎただけなのです。

だからもし、

少し肩の力が抜けたなら、

それは敗北ではなく、

ようやく自分の人生に戻ってきたということなのかもしれません。


世界は大きく変わらないかもしれない。

けれど、

あなたが背負い方を変えた瞬間から、

見える景色は静かに変わり始めます。

そしてその変化は、

誰かを説得した結果ではなく、

あなたがあなたとして生き始めた証なのだと思います。



変わらなかった世界の中で、

静かに戻ってきたのは、

きっと、

あなた自身でした。

ここまで読んでくださったこと自体が、
この記録の意味でした。

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